設立の趣旨
本基金は、世界のリンパ管腫治療に大きな足跡を残した小児外科医・故荻田修平先生の遺志を受け継ぎ、リンパ管腫に苦しむ世界各国の患者を支援する目的で2003年12月15日に設立されました。
リンパ管腫とは、リンパ管の先天的な形成異常とされる難病で、発症は胎児から5才までの幼い子供に多く認められます。好発部位である頸部に発現した場合は、気道・気管を圧迫する等で呼吸困難を起こして死に至ります。組織学的には悪性ではありませんが、悪性腫瘍のように周囲組織に浸潤します。この特徴のため、リンパ管腫周囲の臓器の機能を温存し、美容的にも満足のいくようにリンパ管腫を手術で完全切除することは極めて困難です。しかし、合併症と再発を伴う外科手術に取って代わる治療は存在せず、患者への精神的・経済的な負担は計り知れないものでした。
こうした中、1986年京都府立医科大学小児外科医の荻田修平医師は、リンパ管腫の管腔内に当時抗がん剤として使用されていた薬剤・OK—432を局所注入してリンパ管腫の縮小・消退を得る治療法「OK—432局注療法」を開始しました。その後、成功例の増加と共に共同研究も行われ、高い有用性が確認され、日本国内ではこの治療法がリンパ管腫治療の標準として確立されていきました。
しかし海外ではOK—432が流通していないため、海外の患者はOK—432局注療法を受けたくても自国で受けられず来日する以外の選択肢はありませんでした。さらに、本疾患の根本治療には、1回の治療に約1ヶ月の滞在を要し、治療回数も数回に亘るため、多額の費用を必要としました。荻田医師は、経済的な理由でリンパ管腫に対するOK—432局注療法を受けることができない外国の子供たちを何とか援助できないものかと思案を重ね、1992年9月自ら募金活動を展開し、そのきっかけとなったメキシコ人患児「カルロスちゃん」の名前にちなんで、「カルロスちゃん基金」を設立しました。
以降、荻田医師が代表を務める「カルロスちゃん基金」は、リンパ管腫に苦しむ世界中の子供たちが、現地の医療事情や経済的問題に左右されることなく平等に治療を受けられることを目的に、
1)インターネットによる治療法に関する情報の提供
2)薬剤OK—432の送付
3)治療法の指導を中心とした医療援助
2003年4月21日、荻田医師は55歳という若さで生涯を閉じられました。OK—432局注療法の開発者としてのみならず、「研究の成果を病に苦しむ全ての人々が享受できるように努力しなければならない」という信念を抱いて多くのリンパ管腫患者を救い、その惜しみないボランティア精神で世界のリンパ管腫治療に多大なる貢献を遂げられました。
私達は、故荻田医師の功績を称え、「カルロスちゃん基金」をこのたび「荻田修平基金」と改め、引き続き前述の3つの事業を中心にリンパ管腫患者支援を継続して参ります。
2003年12月15日
特定非営利活動法人 荻田修平基金
理事長 荻田徳子
副理事長 常磐 和明
理事 熊谷文男
理事 深瀬 滋
理事 森野高晴
監事 早川 寛
理事兼事務局長 仰木みどり
